「リラの花咲くけものみち2」が教えてくれた「命の継承」

涙なしには見られなかった「命」の物語

9月19日、NHK土曜ドラマ「リラの花咲くけものみち2」が最終回を迎えました。

2025年に放送された前作に続き、北海道を舞台に、獣医師を目指して試練に立ち向かう元ひきこもり少女・岸本聡里の成長を描いた青春物語です。

「2」では、牛や馬などの家畜、いわゆる「大動物」の獣医師を志した聡里が、仲間たちとともに獣医学を学び、国家試験を突破。そして、獣医師として歩み始めます。

しかし、獣医師となった聡里を待っていたのは、あまりにも厳しい現実でした。

愛おしい命を「殺す」という苦しさ

聡里がずっと成長を見守ってきた折原牧場の牛から、特定家畜伝染病である「口蹄疫」が発生しました。

感染拡大を防ぐため、100頭以上の元気な牛も含めて全頭を殺処分しなければなりません。

聡里は一頭一頭の牛の名前を呼びながら「ごめんね」と声をかけ、殺処分をするために注射を打っていきます。
ドラマでは、聡里たちが折原牧場の牛の全頭殺処分をする過酷な場面が描かれました。

私はこの場面を観て、涙が出ました。

獣医師として命を守る仕事をしているはずなのに、その大切な命を自分の手で絶たなければならない。

それは、決して「牛を殺したい」からではありません。

ほかの牧場の牛たちの命を守るため、そしてこれから生まれてくる命を守るために、苦渋の決断をしなければならなかったのです。

さらに、殺処分のショックから聡里は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむことになります。

そんな聡里に、牧場主の孫娘・七海が「牛たちが殺処分される時の最後の様子を教えてほしい」と尋ねます。

聡里は泣きながら、そのとき牛がどんな様子だったかを、牛の名前言いながら一頭ずつについて話します。
そして、それを聞く七海も泣きます。

この場面は、私も涙をこらえることができませんでした。

大切で愛おしい命を奪い失う悲しみ。
そして、その命を犠牲にしてでも守らなければならないものが有るという、現実の厳しさが伝わってきました。

命は生まれ、そして次の命へ

大きな打撃を受けた折原牧場の牧場主は、牧場を再開するかどうか迷います。
しかし、周囲の励ましと孫娘・七海の願いに背中を押され、再開を決意します。

そして、牧場に一頭の牛がやってきます。
その牛は、すでにお腹に新しい命を宿している「孕み牛」でした。

やがて、その牛から新しい牛が誕生します。

私は、この最後の場面に、このドラマが伝えたかったことが凝縮されているように感じました。

このドラマの制作統括者も、最終回に「また新たな命が生まれる」という場面を入れたかったと語っています。
そして、人間も動物も、生まれ、生を営み、やがて土に還り、そこからまた新しい命が生まれていく。
その繰り返しが私たちの世界なのだと説明されています。

人間も動物も同じです。

生まれて、命を営み、やがて死を迎える。
そして、その命が土に還り、そこからまた新しい生命が生まれてくる。

私たちの世界は、そうした生命の循環によって続いているのでしょう。

財産だけではない「継承」

そして、もう一つ心に残ったのが「継承」というテーマです。

牧場を再開するということは、単に牛を飼う仕事を再開するということではありません。

そこには、牧場主が長年かけて築いてきたもの、動物たちへの思い、家族の思い、そして次の世代へつないでいきたいという願いがあります。

最終回では、新たな命の誕生とともに、孫娘の七海が牧場を継いでいこうとする姿も描かれました。

制作側も、この出産の場面を「継承」の象徴として位置づけていたようです。
聡里から七海へと役割が受け継がれていく姿を通して、「思い」も次の世代へ伝わっていくことが描かれていました。

私は相続の仕事をしています。

相続というと、どうしても「財産を誰がいくら受け取るのか」という話になりがちです。

もちろん、それも大切です。

でも、本当に受け継いでいくものは、財産だけではないはずです。

両親や祖父母が大切にしてきたもの。
家族を思う気持ち。
先祖から受け継いできたもの。
そして、「これからも子どもたちが幸せに生きてほしい」という願い。

これら心の中にあるものも、次の世代に受け継がれていって欲しいことがらです。

「リラの花咲くけものみち2」は、獣医師を目指す若者たちの成長物語であると同時に、「命とは何か」「生きるとは何か」「何を次の世代に残していくのか」を考えさせてくれるドラマでした。

一つの命が終わっても、そこで終わりではない。

命はめぐり、思いは受け継がれていく。

そんな大切なことを教えてくれた、心に残るドラマでした。


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この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
2022年4月に所沢相続サポートセンターを設立。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強、映画鑑賞。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー