「争わない相続」をつくる仕事 ~ “家族に寄り添う専門家の役割”

先日、「新橋会」という専門家の方々が集う勉強会で講師を務めさせて頂きました。

新橋会には、弁護士、税理士、司法書士、FP、不動産業者、保険パーソン、不動産鑑定士、証券会社の人など、相続に関わる様々な専門家の方々が参加されています。

今回のテーマは、
「争わない相続をつくる仕事」
 ~家族に寄り添う専門家の本当の役割


私がこのテーマでお話したいと思ったのは、親が子供達の幸せを願って遺した財産が、逆に家族の争いの原因になってしまわないようにと思ったからです。

兄弟姉妹が相続で対立すると、その関係は壊れ、時には子や孫の代まで影響が続くことがあります。
肉親同士が争い憎しみ合うことは、精神的にも非常に大きなダメージを与えます。

だからこそ、私たち専門家が、“できるだけ争わない相続”へ導いていくことが、家族の皆さんの幸せにつながる--そんな思いを込めてお話させて頂きました。

人口激減・限界高齢社会の時代へ

冒頭では、まず「人口激減・超高齢社会の進行」についてお話しました。

日本はこれから急速な人口減少時代に入っていきます。2055年には、日本の人口は約1億人まで減少すると推計されています。

そして、単なる“超高齢社会”ではなく、「限界高齢社会」に入って行くと考えられます。
高齢者が増える一方で、支える現役世代は減少し、単身高齢者や高齢者のみの世帯も増えて行きます。

そうなると、相続はもはや「一つの家族だけの問題」ではなくなります。

認知症や介護の問題、身寄りのない高齢者の問題、空き家問題、地域コミュニティの弱体化など、相続は「家族だけの問題」から「社会や地域全体の問題」へと広がっていきます。
これから時代に求められる相続の専門家は、地域・行政・福祉・医療などと連携できる人になっていくでしょう。

なぜ、相続の現場が変わるのか?

次に、「なぜ、相続の現場が変わるのか?」というテーマでお話しました。

一つは、テクノロジーとAIの台頭です。

今後は、情報収集や資料作成、法律や税務の検索など、これまで専門家が行っていた多くの業務がITとAIによって効率化されていくでしょう。

もちろん知識は必要ですが、単なる知識提供だけでは差別化が難しい時代になっていきます。
だからこそ、「人に寄り添う力」「対話を支援する力」が、より重要になっていくと思われます。

また、相続問題そのものの本質も大きく変わってきます。
人生100年時代となり、相続の前に、認知症や介護、財産管理などの“生前問題”が深刻化してきます。

さらに、限界高齢社会の進行によって、相続対策のニーズは今後ますます高まっていくでしょう。

一方で、家族関係は多様化し、価値観もさまざまになっていきます。
その結果、「家族の合意形成」が難しいケースが増えていくことが考えられます。

以前は「財産をどう分けるか」が中心でしたが、今後はむしろ、「親は何を望んでいるのか」「誰がどれだけ介護を担ったか」「家族はそれぞれどう思っているか」「兄弟姉妹の感情的なしこりをどうするか」といった、“関係性や感情の問題”が重視されていくでしょう。

つまり、法律や税金だけでは解決できない時代に入っていきます。

相続に関わる専門家に求められる役割

それでは、相続に関わる専門家に求められる役割は何か。
相続の専門家には6つの大きな役割が有ると思います。

クライアントの現状整理・把握、問題の明確化、戦略・道筋、合意形成、対策案の提示、実行支援などです。
特にこれまでは、問題の明確化、合意形成といった役割が殆どされてこなかったように思います。

つまり、専門家は単に「手続きする人」ではなく、家族全体を支える“道先案内人”のような存在になることが必要なのだと思います。

家族会議という“プロセス”の大切さ

今回、特に皆さんが興味を持ってくださったのが、「家族会議支援®︎」の話でした。

私は、円満で幸せな相続を実現するためには、親が元気なうちに家族で話し合う“家族会議”というプロセスが非常に重要だと思っています。

相続で本当に怖いのは、財産の多い少ないではなく、「気持ちのすれ違い」です。

勉強会では、なかなか話し合いが出来なかった家族が、少しずつ対話を重ね、合意に至った事例も2つご紹介しました。

家族会議を行った、ご兄弟の仲があまり良好でなかったご依頼者から、
「3ヶ月前に父が永眠しました。家族会議を行ったお陰で穏やかに送ることができました。ありがとうございました。」というメールを戴いた時は、家族会議をやって良かったと心から思いました。

相続とは、単なる財産承継ではなく、家族の未来づくりなのだと改めて感じました。

ご縁に感謝した一日

勉強会後の質問時間にも、多くのご質問を頂きました。

特に、「家族会議をどのように支援するのか」という点については、皆さん非常に関心を持ってくださったように感じました。

また、懇親会でも参加者の皆さんと様々なお話ができ、大変有意義な時間となりました。

専門分野は違っても、「目の前のご家族を幸せにしたい」という思いは皆さん共通しているのだと感じ、とても温かい気持ちになりました。

このような貴重な機会を頂いた新橋会の皆さまに、心より感謝申し上げます。

これからも“争わない相続”を少しでも増やせるよう、家族に寄り添う支援を続けていきたいと思います。


※家族会議支援®︎は株式会社ライブリッジの登録商標です。


お問合せ・ご相談先

TEL : 090-5580-1050
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お問い合わせ : 所沢相続サポートセンター – 相続の悩みを解決して、笑顔の相続を実現する相続コンサルタント (tokorozawa-souzoku.biz)

この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
2022年4月に所沢相続サポートセンターを設立。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強、映画鑑賞。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー