相続の相談をしていると、「相続対策は勿論大事だけど、○○○○の方がもっと重要だな。」と思う場面によく出会います。

このブログでは、なぜ○○○○の方が重要なのか、どんな対策を取るべきかを考えてみたいと思います。

高齢者にとっての優先事項は「今を生きる」こと

多くの人が相続対策の必要性を認識しています。
しかし、高齢者本人にとって一番気ががりなのは、「自分の残された人生をどう生きるか」ということです。

人生100年時代と言われる中で、高齢者が直面する課題は年々増えています。
高齢者にとって、自分のこれからの生活や健康の心配、財産管理に関する問題は切実です。
老後資金や病気、介護、認知症の問題など、身近なリスクが現実味を帯びてきます。

特に、以下のようなことを厚労省の研究班が公表しています。

80歳代後半では3分の1以上、90歳以上では2分の1以上が認知症になる

このような認知症のリスクに加え、体が衰えていくリスクも有ります。
元気なうちは何も問題がないように感じても、将来の健康状態や生活環境がどうなるかは誰にも分かりません。
判断能力や体が衰えないうちに具体的な生前対策を講じておくことが、これからの自分を守り、最後まで自分らしい幸せな生活を送るための第一歩です。

相続対策より生前対策が重要な理由

相続対策は、主として子供や家族のための準備です。主に相続人が円滑に遺産を受け継ぐための対策です。
一方、生前対策は、「本人がこれからも自分らしく幸せな人生を送るための準備」です。
「自分がどう生きたいか」を実現するための手段です。
どちらが重要かと問われれば、先ずは自分の人生を充実させることを優先すべきです。

人生の最後に近づく中で、誰もが「悔いのない生き方」をしたいと思うはずです。
そのためには、体や判断能力が衰えても自分らしく生き続けるための準備が欠かせません。
そして、生前対策がしっかりしていれば、家族も安心してサポートでき、結果的にそれが相続対策につながり、相続の場面でもトラブルを防ぐことができます。

生前対策で取り組むべきこと

高齢者が「自分らしく」暮らしていくためには、主に以下のような生前対策を検討することをおすすめします。

1.遺言書作成
遺言書は相続対策として大変有効ですが、生前対策としても大きな意味があります。
配偶者が亡くなり自分の判断能力が不十分であったとしても、配偶者の遺言があれば、自分に後見人をつけて遺産分割協議をする必要がなくなります。

また遺言書を作成する段階で家族会議を行い、親や子供達の考え・気持ちをお互いに聴き合い、共有または合意した上で作成すれば、家族の絆がより深まり、後あと家族間でトラブルになることもありません。
遺言書作成を契機として、親の生前対策と相続対策を家族皆で一緒に考えていくことができます。

2.見守り契約
一人暮らしの人に対して、または家族と離れて暮らす人の家族に代わって、信頼できる第三者が定期的に安否確認を行う仕組みです。
高齢になるほど、一人での生活に不安が増すため、日々の見守りは心強い支えとなります。


3.財産管理等委任契約
本人に判断能力はあるが、長期入院、介護施設への入居、身体に不自由があって文字か書けなかったり出歩けない場合に、日々の生活費の管理や支払い、療養看護や財産の管理について、家族や信頼できる人に代理権を与え代行してもらうことができます。

4.任意後見契約
本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自分が選んだ任意後見人に、自分の生活、療養看護や財産管理について代理権を与える契約です。
これにより、認知症になった場合などでも本人の希望が尊重される生活を続けられるようになります。

5.家族信託契約
家族の誰かに財産の運用や管理を託し、必要な時に必要なサポートを受けるための仕組みです。
特に不動産を持っている場合などは、スムーズな管理・運用・処分が可能になります。

6.尊厳死宣言公正証書
回復の見込みのない末期状態になった場合、生命維持治療を差し控え、または中止するなど、過剰な延命処置を打ち切って、人間としての尊厳を保ちつつ自然な死を迎えたいという自分の意志を明確にし、医療機関や家族に伝えるための手段です。
自分らしい最後を迎えるために役立つ対策です。

まとめ:自分らしい人生を全うするために

相続対策はもちろん重要です。
しかし、相続対策はあくまで財産を引き継ぐことが中心であり、それが本当に本人の生前の幸せに繋がるかどうか分かりません。

高齢者が真っ先に考えるべきは、自分自身の「今」と「これから」です。
生前に本人が明確な意志を示しておくことで、家族はできる限り本人の希望に添うように行動でき、無用なトラブルを回避することができます。
そして生前対策をしっかりと行い、自分らしい人生を全うする準備をすることで、残された家族に大きな負担をかけることなく、安心と円満な相続も遺すことができます。

所沢相続サポートセンターでは、生前対策や相続対策をトータルでサポートしています。
「自分がこれからどう生きたいか」を一緒に考え、最適な解決策を提案させていただきます。
お気軽にご相談ください。

お互い一度だけの人生を、悔いなく生きていきましょう!

TEL : 090-5580-1050
Mail : yoshino-y0529@nifty.com

お問い合わせ : 所沢相続サポートセンター – 相続の悩みを解決して、笑顔の相続を実現する相続コンサルタント (tokorozawa-souzoku.biz)


この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
2022年4月に所沢相続サポートセンターを設立。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー