争族を防ぐには「家族の話し合い」が第一歩

相続の場面で一番避けたいのは、家族が争う「争族」です。
財産の多少にかかわらず、兄弟姉妹が口をきかなくなったり、親子の縁が切れてしまうことは、何よりも悲しいことです。
兄弟姉妹が争い縁が切れると、兄弟姉妹の子供同士も縁が切れてしまいます。

私が相続勉強会でよくお伝えしているのは、
「争族を防ぐには、親の生前に家族で話し合うことが一番大切」
ということです。

しかし現実には、なかなかその話し合いができません。
「お盆や正月に家族が顔を合わせた時に、相続について話してみてください」
と勉強会で呼びかけても、実際に話し合いをしたご家族はほとんどいませんでした。

その理由は簡単です。相続の話は、感情が絡むからです。
お金や不動産だけでなく、親の介護の負担、過去の恩や不満など、さまざまな思いが交錯します。
誰かが切り出そうとしても、「縁起でもない」と言われたり、場の空気が重くなってしまう。
こうしてコミュニケーション不足のまま時間だけが過ぎ、いざ相続が発生すると、思わぬ争いに発展してしまいます。

争族の原因は「家族間の温度差」

私がこれまでの相続相談で感じているのは、争族の最大の原因は家族のコミュニケーション不足です。
例えば、長男は「自分が親の面倒を見ているのだから、家や多くの財産を相続するのは当然」と思っている。
次男は「兄が勝手に決めてしまうのは納得できない」と思っている。
長女は「私にも権利があるので、何らかの財産が欲しい」と思っているが、口には出さない――。

このように、家族一人ひとりの温度差がある状態で相続を迎えると、ちょっとした発言や手続きの進め方が引き金となり、争族に発展します。

ですから、相続前に大切なのは、家族全員で話し合いをして
・家族全員が問題意識を共有すること
・それぞれの想いや考えを言葉にして伝え合うこと

この2つです。
お互いの気持ちを知り、温度差を埋めることができれば、相続は穏やかに進みます。

相続コンサルタントが家族会議を支援する意味

とはいえ、家族だけで相続の話し合いをするのは難しいものです。
そこで意味を持つのが、私たち相続コンサルタントの存在です。

相続は、相談者一人の問題ではありません。
家族全員の問題であり、全員が当事者です。
相続コンサルタントは、相談者に寄り添うと同時に、家族全員の幸せを考え、当事者全員が納得できる形に導くお手伝いをします。

家族会議を支援する際に最も大切なのは、公平中立の立場であることです。
もし「依頼者である相談者の味方だけ」という姿勢で臨むと、他の家族からは敵と見なされ、家族会議はうまくいきません。
場合によっては、かえって新たな争いを生んでしまうことさえあります。

私たち相続コンサルタントの立ち位置は、
・家族全員の想いを引き出すファシリテーター
・当事者全員の利益と幸せが最大化する方向へ導くナビゲーター
・私たちが何らかの結論に誘導したり、何かを決めたりする立場ではないこと

このスタンスで臨むことで、家族会議は前向きで建設的な話し合いになり、相続が「家族の絆を深める機会」へと変わります。

争族を防ぐためにできること

争族を防ぐための具体的な一歩は、次の3つです。

1.家族会議を開く決意をする
相続は避けて通れません。「まだ早い」と思っても、元気なうちに話し合うことが最も大切です。

2.全員の想いを言葉にする
相手を責めたり批判・非難することなく、全員が自由に発言して、それぞれの気持ちや考えを伝え合うことが大切です。

3.第三者のサポートを受ける
相続コンサルタントのような中立的な専門家が加わることで、家族会議はスムーズに進みます。

まとめ――家族全員が幸せになる相続を目指して

相続は、財産を分ける手続きだけではありません。
家族の想いをつなぎ、未来の関係を守る大切なプロセスです。

相続コンサルタントは、単に依頼者を守るだけでなく、家族全員の幸せと利益を最大にするために伴走します。
争族を防ぐカギは、家族のコミュニケーションと公平中立なサポート
穏やかな相続を迎えるために、まずは家族で一歩を踏み出してみてください。


ご相談先

TEL : 090-5580-1050
Mail : yoshino-y0529@nifty.com

お問い合わせ : 所沢相続サポートセンター – 相続の悩みを解決して、笑顔の相続を実現する相続コンサルタント (tokorozawa-souzoku.biz)

この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
2022年4月に所沢相続サポートセンターを設立。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー