認知症と生前対策・相続対策

今回は、認知症が入っている方の生前対策・相続対策がギリギリ間に合ったというお話しをします。

認知症になると相続対策が出来ない事は、皆さんご存知だと思います。

相続対策と言われることには、遺産分割対策、相続税納税対策、相続税節税対策、認知症対策などが有ります。

具体的には、遺言書作成、贈与契約、生命保険契約、家族信託契約、
不動産の売買・賃貸・有効活用、資産の組み替え、金融・投資商品の購入、金融機関借入れ、
財産管理等委任契約、任意後見契約、法定後見検討、死後事務委任契約、尊厳死宣言書作成、
養子縁組などの手段を使って相続対策を実行していきます。

これらの手段は、ほとんど法律行為に該当します。
法律行為は、ご本人に意思能力・判断能力が無いとできません。

民法第3条の2に、「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。」とあります。

契約は法律行為なので、意思能力が無い時にした契約は無効になります。

意思能力が無くなってから法律行為を行ないたい場合は、家庭裁判所に成年後見人等の選任をしてもらわなければいけません。
成年後見人等がついた場合、相続対策をする事が非常に難しくなります。

でも、認知症の症状が見られるからといって、直ちに法律行為が出来ないわけではありません。

元気な人が突然、完全に意思能力・判断能力を無くすことは殆どありません。
普通は軽度認知障害から軽い認知症になり徐々に重い認知症になっていきます。

認知症でもまだ軽い段階で、ご本人に意思能力・判断能力が有れば、生前対策・相続対策は出来ます。

何とか間に合った!

私が以前、生前対策・相続対策のサポートで関わらせて頂いた案件です。

所沢市近郊のご家族で、90歳のお母様、60歳代のご長男(独身)とご長女、50歳代のご二男という家族構成です。
お母様とご長男は、お母様所有の自宅に同居されており、ご長女、ご二男は別の所に家庭を持っていらっしゃいました。

お母様はまだ判断能力がお有りでしたが、朝食べた事を昼には忘れているといった短期記憶障害が入っており、時々、徘徊もされるようになっていました。

ご長男が私が主催している相続勉強会に参加され、その後、個別相談を申し込まれました。

「最近母親に認知症の症状が急に現れて来て不安に思っている。徘徊するようになってきたので対応が大変になってきた。
相続対策は何もやっていない。何から初めてどのようにしたらいいか分からない。
認知症がもっと進む前に何とかしたい。」という切羽詰まったご相談でした。

私もそれを聞いて、これは大至急対策をしなければ大変な状況になると思いました。

対策をするために更に詳しくお話しをお聴きしました。
そして、現状の分析と課題を明確にして、課題を解決するための対策案、及び対策をして解決するまでのロードマップをご提示しました。
対策案をご理解頂き、認知症も割と早く進行しているようなので急ぐ必要が有り、相続コンサルティング契約を締結して頂き、早急にサポートをすることになりました。

サポートに入ってからは、ご家族全員に集まって頂きご家族が対策案を検討し合意するための家族会議を4~5回行ないました。
そして、行政書士の先生に必要なところを協力して頂きながら、財産管理委任契約、任意後見・法定後見制度・家族信託の検討、ご自宅売却の検討、自筆証書遺言の作成などの対策を実行しました。

お母様が高齢者施設に入居するためご自宅を売却する事になったので、不動産業者に早急に買主を見つけてもらい、お母様がまだ判断能力がある内に無事契約・決済まで持って行くことができました。

サポートを開始してから大至急対策に取りかかり、約3ヶ月で対策の実行を終えることができました。

まとめ

このように、認知症になっているからと言って、法律行為がすべて出来ないわけではありません。
認知症の方でも色々な段階が有り、判断能力・意志能力があれば契約などの法律行為ができます。

(場合によっては、司法書士、公証人、医師などに判断能力・意思能力を確認してもらったり、立ち会ってもらうことが必要です。
また、後々揉めそうな場合は、ビデオカメラで法律行為をしている時の状態を撮影して記録しておくなどの事も必要かもしれません。)

但し、認知症の進行が早い方もいらっしゃいます。
認知症が入ってきている方がご家族にいらっしゃる場合は、大至急対策が必要になってきます。

認知症が気になっている方、認知症気味の方がご家族にいらっしゃる方、認知症の方がご家族にいらっしゃる方。それぞれ対策と緊急性が異なってきます。

そのような方がいらっしゃる場合は、是非ご相談ください。

相談先  TEL : 090-5580-1050   Mail : yoshino-y0529@nifty.com

※個人情報に配慮し、案件の内容を一部変更して記述しています。

この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー