野口賢次氏が野口レポートで「相続と少子化を考える」のテーマで書かれていました。
そのレポートに触発されたので、少子化による人口減と相続について私なりの考えを書いてみます。

日本の出生率は1.2%位ということはよく知られています。
2023年の出生者数は約76万人。一方、死亡者数は約159万人。
1年で人口が83万人も減っています。
このまま行くと約80年~90年で、日本の人口は半分の約6000万人になります。
こうなることは、少なくとも30年位前から分かっていたはずですので、政治の責任は大きいと言わざるをいません。

しかし一方、考えてみると、江戸時代の人口は約3100万人。
江戸時代から現在まで僅か200年間で、人口が4倍になっています。

世界の人口も、私が生まれた1950年頃は約25億人でしたが、僅か70年で3倍以上の約80億人になっています。
人間が爆発的に増えています。
人口が増加すれば、経済も成長する。
経済成長第一主義、GNP第一主義が、人口爆発を招いていると言えそうです。
人口爆発によって温室効果ガスの排出量が急増し、気温上昇による異常気象が多発しています。
食料確保のため自然を破壊し、地球資源も取り尽くそうとしています。

このまま人間が増えて行くと、地球は人間・生物が生きていくことができない星になります。
今はまだ、地球が自然治癒力を発揮していますが、もうそれも限界に達しているようです。
人口が減っていくのは、宇宙や地球が、地球を正常な形に戻そうとする自然の法則のようにみえます。

但し、ここまで急激に人口が減っていくと、社会に様々な困難・痛みが生じて来ます。

少子化・人口減のデメリットとメリット

少子化・人口減のデメリットについては既に色々言われています。
需要減による不景気、産業の衰退、過疎化、消滅可能性都市、社会保障費の現役世代の負担増大、深刻な人手不足、などなど。

物事には何事も二面性が有ります。
では、少子化・人口減のメリットは有るのか?

不動産について考えると、一人当たりが使える土地面積が広くなります。
人口が減ると土地の価格も下がるので、広い土地が買えます。
敷地が広いので、広い住宅に住むことができます。
住宅も余ってきて、安い中古住宅も手に入るので、新築の家を建てたり買ったりしなくても良くなります。

相続について考えると、少子化で子供が1人か2人位なので、遺産分割が楽になるでしょう。
独身の人や、配偶者に先立たれ子供がいない人は兄弟姉妹相続になるので、法定相続分で遺産分割するか、遺言を書いておけば、あまり揉める事はないでしょう。

地球規模で考えると、人間が減ることによって地球環境が改善していくでしょうね。

このように考えると人口減によるメリットも有りますが、これから人口が急減することによる社会の大激変にどのように対応していくか、この痛みにどうやって耐えていくかが大きな問題となってくるでしょう。

少子化と相続

少子化の原因は色々言われています。
結婚する気がない。経済的事情等により結婚できない。
結婚していても子供は欲しくない。子供が欲しくても経済的事情により産み育てることができない。
子供を作っても1人か2人しか作らない。結婚年齢が高年齢化していて多くを産めない、など。

結婚する気がなかったり子供がほしくない人が増えたという事については、価値観の変化を感じます。
結婚という制度に縛られたくない。子供に縛られないで生きたい。
自由を求める人が増えたのかなと思います。

人口の急減を緩和するには、結婚していても結婚していなくても、子供が欲しい人は持てる社会にする必要が有るのではないかと思います。
親と共に、社会全体で子供を育てる体制を作ることが必要なのではないかと思います。

また現在は、相続人は戸籍に入っていることが必要ですが、これからは戸籍に関係なく相続できる制度に変える事ができるよう、相続制度の変更も必要になってくるのではないでしょうか。

また人口が減っていくので、外国の方を日本に積極的に受け入れることになると思います。
日本人と結婚したり定住する人が増えると、複雑な相続が増えることが想定されます。

それとこれからは、お一人様で亡くなるケースが増えてくることが予想されます。
そうなると、遺された財産はどこへ?
兄弟姉妹がいればそちらに行くでしょうが、遺言を書いておかないと財産が宙に浮いてしまい国に帰属してしまいます。
遺贈が増えそうです。

亡くなった方の遺産も、自宅・預貯金などのプラスの財産が多いのか、借金・連帯保証などのマイナスの財産が多いのか、分からない人が多くなることが予想されます。
そんな場合、相続したプラスの財産を限度として、マイナスの財産も引き継ぐ「限定承認」という相続の仕方がありますが、合理的な相続の仕方なので、もっと周知され活用されるといいでしょう。

急激な少子化や人口減によって、社会全体の状況や相続の状況もこれから劇的に変わっていきます。

そういう状況で私達はどうしたらいいのか?
目的は何か?
目的は、私達一人一人の平和で幸せな暮らしだと思います。

それと同時に、人間だけの幸福を追求するのではなく、地球全体の生物の幸福を追求することだと思います。
絶妙なバランスを保ちながら循環し全ての生物が共生している自然環境を大切にすること。
そうすることが、結局人間の幸せに繋がってくると思います。

そのために制度も法律もテクノロジーも私達自身も、変えてはいけない部分は守りながら、変える必要があるところは早急に変えて行かないと、この急激な人口減に対応していけないのではないでしょうか。

この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー