「主人」「奥様」「家内」という呼び方に感じる違和感

相続の相談をしていて、女性の夫に対しては「ご主人」、男性の妻に対しては「奥様」と敬語で言うのですが、実は少し違和感があります。
何か他に良い言い方がないかと考えるのですが、尊敬語となるとなかなか良い言い方が見つかりません。

今回は、配偶者の呼び方について考えてみました。

「主人」「奥様」「家内」という呼び方に感じる違和感

「ご主人は?」「奥様は?」「家内が…」「うちの嫁が…」
日常の中で、ごく普通に交わされる言葉です。
しかし私は、以前からこれらの呼び方に少し違和感を持っています。

「主人」という言葉には、“主(あるじ)”という意味があります。
つまり、家の中で一番偉い存在というニュアンスが含まれています。

一方、「奥様」は、元々は武家屋敷の奥(奥方)に住む身分の高い人の妻を指していた言葉で、相手に敬意を表す丁寧な表現ですが、“一家の主婦”を指したり、表側に出ない“奥の方にいる人”のニュアンスがあります。

「家内」は、文字通り“家の内にいる人”です。

しかし現代では、多くの女性が社会で働き、地域で活動し、家庭の外でも女性が個人として重要な役割を担っています。

そう考えると、「主人」「奥様」「家内」という呼び方は、現在の夫婦関係とは少しズレて来ているように感じます。

言葉の中に残る「家制度」

日本には戦前「家制度」という考え方がありました。

一家の中心には戸主がいて、家を守り、家名を継承するという制度です。
その中では、男性が“家の主”であり、女性は“家を支える存在”として位置づけられていました。

色々な権利を行使できるのは夫だけで、妻は法的には無能力者。
女性は権利能力が無かったので、保護者は父兄でした。

戦後、新憲法によって家制度は廃止され、法的には男女平等になりました。
しかし、言葉の中には今もその名残が残っています。

「嫁」という言葉もそうです。
「嫁」と言うと、まるで“家に入ってきた女性”という響きがあります。
もちろん、親しみを込めて使っている人も多いでしょうが、戦前の家制度と結びついた言葉です。

私は、夫婦はどちらかがどちらかの家に所属する関係ではなく、対等なパートナーであるべきだと思っています。

呼び方が変わると、関係も変わる

私は最近、他人に対しては妻のことを「かみさん」と言っています。
昔ながらの言葉ではありますが、「主人」や「家内」ほど上下関係を感じないからです。

「私の妻」「私の夫」とそのまま呼ぶのもシンプルで良いと思いますが、私は慣れていないせいか使えません。
最近では、「パートナー」や「連れ合い」という表現も増えてきました。

私は「連れ合い」という言葉も良いように思います。
人生は長い旅のようなもので、嬉しい時もあれば、苦しい時もある。
健康な時もあれば、病気になる時もある。
そんな人生を、横に並んで一緒に歩く存在としての「連れ合い」です。

配偶者については色々な呼び方がありますが、相手の配偶者について敬語で言う時に適当な言葉がなかなか無いので、いつも悩ましい気持ちになります。
「お連れ合い様」と言うのも良いかと思いますが、まだ今一つしっくりきません。

言葉を変えたからといって、すぐ社会が変わるわけではありません。
しかし、言葉は人の意識を少しずつ変えていきます。

そして、意識が変われば、人間関係も変わっていく。

相続の仕事をしていると、家族関係の大切さを痛感します。
だからこそ私は、「誰かが上か下か」ではなく、「どう支え合うか」を大切にしたいと思っています。

夫婦とは“主従関係”ではなく、“人生のパートナー”。

言葉は小さなことのようですが、その家庭の空気を作っているのかも知れません。
言葉を大切にしたいと思います。


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この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
2022年4月に所沢相続サポートセンターを設立。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強、映画鑑賞。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー