相続コンサルタントとして多くのご相談を受ける中で、相続で揉めたり円滑に行かない要因の一つに、「問題を抱えた不動産」の存在があります。
相続の場面では、被相続人(親)が所有していた不動産を、子供達で分けたり、相続税を払うために売却したり、相続人間でお金を公平に分けるために不動産を処分する場面が出て来ます。
しかし、その不動産に問題があると、思い描いていた計画が頓挫してしまうことが少なくありません。
さらに厄介なのは、所有者本人がそうした問題に気付いていないケースが非常に多いことです。
いざ相続が発生してから、初めて問題が顕在化し、売却や分割がスムーズに進まず、解決のために余計な時間やお金がかかる・・・。
場合によっては、どうにもならず手詰まりになることさえあります。
だからこそ、相続対策に先立って、まずは所有不動産について問題がないかをしっかりチェックし、早めに対処しておくことが非常に重要です。
こんな不動産は要注意!主な問題点

では、具体的にどんな問題があるのか。
以下に代表的な10のケースを挙げます。
1.接道義務違反
原則として幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接していなければ、建物が建築できません。
「接道義務」を満たしていない土地は再建築ができず、資産価値が著しく低下し、売りたくても想定した価格では売れない事態になります。
2mの接道幅を満たしていない場合は、隣地と交渉して2m以上確保するなどの対策が必要です。
2.土地の境界が不明確、または境界トラブルがある
「うちは昔からここまでがうちの土地」という曖昧な認識で、境界確認していない土地は意外に多くあります。
実際に測量や境界確認をしようとすると、隣地所有者と認識が違い交渉が難航し、解決まで長い時間や費用がかかることがあります。
そうすると、納税や分配のために売却して換金しようと思っても、できない事態になります。
3.相続登記をしていない
相続登記を長年放置しているケースは非常に多いです。
代替わりが進み、相続人が多数・遠方に散らばり、権利者を探すのが大変だったり、相続人が増えて話がまとまらなかったりで、いざ売却や活用しようにも困難になります。
4.使うあてのない山林
相続したが使うあてがなく買い手のつきにくい山林は、草木が繁茂して境界も分からず、固定資産税や管理責任だけが残り、将来の負動産化(負担だけの負動産)に繋がりやすいです。
5.私道に持分がない
家の前の道路が私道で、その持分を持っていないと、将来の上下水道工事や通行に支障が出る可能性があります。
建替えや売却時に、高額な負担金の支払いや通行・掘削承諾書の取得を求められることがあります。
6.隣接地や他人に被害を及ぼす恐れのある土地・建物
老朽化して倒壊する危険がある建物、台風や雪で倒れる恐れのある木・竹、崩れる可能性のある崖地などは、隣地や通行人に被害を及ぼすリスクがあります。
そうなると損害賠償責任を負う可能性もあり、まさに「負の資産」となります。
7.入居率が悪く修繕費がかかる築古賃貸アパート
入居率が低く、収入が安定しない上に、屋根や外壁、給排水管などの修繕費がかさむ古いアパートは、資産価値よりも負担の方が大きくなることがあります。
8.既存不適格建築物
建築当時は合法でも、法改正により現在の基準に適合しなくなった建物です。
通常はそのまま使えますが、旧耐震基準の建物は耐震性に問題があることがあります。
また、大規模修繕の際には現行の法律基準に合わせる必要があるため、通常より費用がかかることがあります。
そのため資産価値や流動性が低下する可能性があります。
9.違反建築物
建築確認をとっていない増築や、建ぺい率・容積率オーバーの違法状態にある建物は「違反建築物」となります。
買主が住宅ローンを組めないなど、売却が極めて困難になるリスクがあります。
10.管理費や修繕積立金が高い古いリゾートマンション
築年数の経ったリゾートマンションは、利用頻度が低いのに管理費や修繕積立金が高く、将来大規模修繕でさらに負担が増すケースも珍しくありません。
問題負動産の発見と対策は、早いほど有利
これらの問題は、放っておいて自然に解決するものではありません。
逆に時間が経つほど状況は悪化し、問題が複雑化することが多いです。
例えば、隣地との境界トラブルは相手が代替わりすると話がややこしくなり、相続登記の未了は相続人が増えすぎて調整に膨大な時間がかかり、違反状態の是正には多大な時間とお金がかかります。
だからこそ、元気なうちに自分が所有している不動産について、一度専門家に相談し、問題点がないかを確認しておくことをお勧めします。
これが結果として、将来の相続手続きをスムーズにし、相続税対策や遺産分割の計画を生かすための土台になります。
相続対策を活かすためにも、問題不動産対策が先!
相続対策というと、遺言や節税、納税資金の準備などをまず考える方が多いですが、それも不動産がスムーズに活用・処分できてこそ成り立ちます。
つまり、「相続対策より、問題不動産対策が先!」です。
問題不動産を先に整えておくことで、相続発生後のトラブルを防ぎ、安心して相続対策に取り組むことができます。
少しでも気になる土地や建物がある方は、ぜひ早めにご相談ください。
問題を一緒に整理し、安心して次の世代に繋げられるお手伝いをさせて頂きます。
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