例えば、2筆の土地の上に、自宅、アパート、駐車場がまたがって有るような場合。
土地の単位は2筆ですが、利用の単位は3つです。
このような土地は売ったり遺産分割することが出来るでしょうか?
このような土地は売ることもできませんし、分けることもできません。
納税のために駐車場を売却するためには、全体の確定測量をして、分筆しなおす必要が有ります。
また、アパート建設の借入金の抵当権が土地2筆にかかっていたら、駐車場を売却する時に、アパートの抵当権を外してもらうのが難しいという問題が出てきます。
相続財産に不動産が有る場合、すぐに分割できたり売却できる状態にするために、相続前の事前の調査がとても重要です。
何と言っても現地調査が不可欠!
このような不動産の状態を確認し、相続対策をするためには事前の現地調査が不可欠です。
現地で確認することは、
1.実際の土地利用状況が、登記上の地目と異なっていないか。
2.登記上の地積と、実際の地積が異なっていないか。
測量図が無い場合、間口と奥行きをメジャーなどで測ってみる。(出来れば、敷地の周囲を全て測る。)
3.土地の境界標が入っているか。
4.未登記建物が建っていないか。
また、実際は建っていないのに、登記に建物が残っていないか。
5.土地の形状、面積、利用状況によって、相続税が減額できる場合がある。
6.前面道路の幅員を確認。
及び、前面道路は建築基準法上の道路か。
建築基準法上の道路に2m以上接しているか。
7.旗竿敷地(路地状敷地)の場合、路地の長さや建物の規模によって、路地の幅員が2mより大きな幅員が必要なことがあるので確認。
8.位置指定道路に接している場合、位置指定道路図と実際の道路形状が異なっていないか。
などです。
その他、相続不動産で調査すべきことは?
現地調査は勿論ですが、相続不動産で調査した方が良い事としては、ちょっと専門的になりますが次のような事柄が有ります。
1.都市計画法や建築基準法の調査
市街化区域か市街化調整区域か。
用途地域による規制、建ぺい率・容積率、斜線制限、日影規制、道路調査、最低敷地面積など。
2.権利関係調査
所有権が単有か共有か、借地権か、抵当権等の担保権、賃借権、境界、越境(地中・空中も)など。
3.インフラ調査
給水、汚水・雑排水、電気、ガスの調査。
4.境界確定および確定測量
官民・民民の境界の確定および確定測量はされているか。売却する時は必須。
遺産分割する時も出来れば有った方が良いでしょう。
5.評価単位
先ほども書きましたが、「筆」(所有)の単位と「利用」「売却」の単位が同じか。
異なると、売れない、分けられないという事になります。
6.土地調査
地歴、軟弱地盤、浸水・洪水のハザードマップ、土砂災害、土壌汚染、道路・隣地との高低差、日照・騒音・振動、嫌悪施設の有無など。
7.建物調査
敷地の範囲、新耐震か旧耐震か、アスベストの有無、遵法性(建ぺい率・容積率オーバー、屋上に増築、1階駐車場を用途変更など)。
遵法性がない場合、違反建築物なのか既存不適格建築物(建築時は適法であったが、現在の法令に合致していない建物)なのかの確認。
8.収入・支出の調査
賃貸アパート・マンション・テナントビルの場合。
以上、調査すべきことが沢山有りますが、相続が発生した時、すぐに相続人間で分割したい、納税したい、売却したいといった時に、調査をして対策をしていないと、出来なくて大きな困難に直面することになります。
また、遺産分割協議をする時に、調査をしてその不動産の価値が分かっていなければ話し合いが難しいという事になります。
不動産を売却して他の相続人に代償金を払ったり納税資金を調達したりする場合も、不動産の売却価格がどの位になるのか大体分かっていないと、予定していた価格で売れない場合それらが不可能になってしまいます。
そのような困った事態にならないように、ぜひ事前に調査を行なって対策を行なっておいてください。
これらの調査は、ご自分で出来る事も有りますが、ちょっと専門的な事はご自分でやるのが大変なことも有りますので、そのような場合は不動産や建築の専門家に相談してください。