高齢者と言うと、現代では一般的に負のイメージで捉えられています。

昔は年を取るとそれなりに知識や経験を積み重ね、周りから尊敬の念を持って接せられていました。
しかし今では社会の進歩が早すぎて昔の知識や経験があまり役に立たず、取り残された存在になっている人が多いように思います。
また、超高齢社会となり、年金負担の増大や介護・医療費の増大で社会的負担が大きくなり、お荷物的に思われています。

高齢者は日本の人口の3割を占めています。
この3割の人間が社会のお荷物のままであっては、日本の社会は良くなりません。

高齢者がのこした負の遺産

今の日本は様々な課題を抱えています。

国などの借金は1200兆円超え。(国民1人当たり1000万円の借金!)
円安が止まらない。日本の国力は落ちるばかり。
外国人労働者も来なくなり、人手不足が深刻になる。
少子化が止まらない。
高齢者は増え続け、社会保障費も増え、介護の担い手不足が深刻化してくる。
政治は統一教会問題や裏金問題に見られるように正常でない。
能登半島大地震の復旧・生活再建が遅々として進まない。災害大国なのに災害対応が全くできていない。
いつ来てもおかしくない南海トラフ・東南海トラフ・首都直下大地震への備えもよく見えない。
ウクライナやガザでの戦争に対して、平和立国としての明確なメッセージ発信無し。
アメリカの属国のような存在が続いており、真の独立国となっていない。
気候温暖化問題は待ったなしだが切迫感無し。酷暑や異常気象が頻発している。
食料の大部分を外国に頼っており、食の安全や食料安全保障の観点からも大問題。
地震大国で高レベル放射性廃棄物の処分場もないのに、原発を再稼働。
台湾有事(戦争)になれば日本は戦争に巻き込まれるが、緊張を緩和する外交努力無し。
世界には核弾頭が1万2000発超存在する。存在する限り使われる可能性があり、使われれば破滅的な被害が想定される。現役核弾頭は増加傾向にあり、核軍縮どころか核軍拡が進んでいる。

まだ、私が気がついていない課題も多く有ると思いますが、ざっと思いついて挙げただけでも、こんなにも多くの課題があります。
政治的な課題も多く有りますが、政治と私たちの暮らしは密接に関係しているので、切り離して考えることはできません。

私たち高齢者は現役時代一生懸命仕事をし、豊かな生活できるように頑張ってきました。
しかし、上記の課題は私たち高齢者が次の世代にのこす負の遺産です。
負の遺産は全て我々高齢者に責任があるとは思いませんが、多くは私たちの時代が作り出したもの、または改善しなかったものと言えます。

これら多くの負の遺産を、全て解決して次の世代に引き継ぐのは無理としても、できるだけ減らして次の世代に引き継ぐのは私たち高齢者の責任だと思います。

それではどうしますか?

一口に高齢者と言っても、様々な人がいます。
健康状態や精神状態、生活状態、経済状態は様々で、元気な人もいれば病気や介護状態も人もいます。
最近は生活が苦しい高齢者が多くなったように思いますが、豊かな人もいます。
考え方も色々です。

感覚的には昔と比べて元気な人が多い気がします。
前期高齢者(65歳以上~75歳未満)の人で働いている人はたくさんいます。(生活のためや、健康・生きがいのためなど)
色んな活動をしている人も多くいます。
後期高齢者(75歳以上)の人も元気な方がたくさんいます。

私は福島原発刑事訴訟の支援もしているのですが、集会などに行くと9割位は高齢者です。

若い人や中年の人が少ないのは残念ですし、もっと参加して欲しいと思いますが、働いていると忙しいですし時間的な制約もあるでしょう。
その点、高齢者はリタイアしている人が多いので、時間が比較的自由に使えます。
参加している方は、病気を抱えながら頑張って来ている人もいますし、まだまだ元気な人もいます。
皆さん、社会的課題に対する意識が高いように思います。

国政選挙における投票状況は、若い人は30~40%、中年の人は40~60%、高齢者は70%超というデータがあります。

そうすると、人口の3割を占める高齢者が5割位の社会的発言権を持っていることになります。

日本社会で5割位の発言権があるという事は、この声がある程度まとまればすごく大きな力になります。
それを高齢者の利益のためだけに使うのではなく、日本の課題や負の遺産を解決するために使えば、希望があまり見えない日本社会を大きく変えることができます。

私たち高齢者は、高齢者自身の課題を解決すると共に、後輩達により良い社会をのこしていくために、考えたり少しの時間でもいいので使っていく必要があるように思います。

無理をしないで、できる範囲で、楽しく、より良い日本を後輩達に相続するために頑張っていきたい。
そういう気持ちで高齢者の一人である私も、これからの人生を生きていきたいと思います。


この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
2022年4月に所沢相続サポートセンターを設立。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー