相続対策では、遺言書が重要です。
相続対策には色々な方法が有りますが、遺言書作成は是非やっておきたい対策です。

でも遺言書は、あくまでも幸せな相続を実現するための手段であって目的ではありません。
相続対策の目的をしっかり考え、それに沿った内容にしないと後々かえってトラブルになったり、不幸な相続になることがあります。

今回は、遺言書を書く前に、遺言内容をよく考えることの重要性を書いてみました。

遺言書は法的な文書なので書式が重要だが、内容はもっと重要!

遺言書についてのご相談を受けると、多くの方が「法的に有効な遺言書を書きたい。」とおっしゃいます。
もちろん、それは大切なことです。
遺言書の形式が正しくなければ無効になってしまうリスクがあるため、法律的に認められる書き方を守ることは必須です。

しかし、ここで強調しておきたいことは、「遺言書の内容がもっと重要である。」ということです。
どんなに形式が正しくても、内容が不適切であれば、相続人間に不和を生む原因となることがあります。

遺言書の内容で、家族の絆が崩れることがある

遺言書は故人の意志を伝える大切な手段ですが、その内容次第で相続人間の関係が悪化することがあります。
例えば、以下のようなケースです。

・一部の相続人だけが財産を多く受け取る形になった。
・特定の相続人に重要な資産を集中させたため、他の相続人が不満を抱いた。

遺言書を開封した瞬間、相続人の間に不公平感が生まれると、家族の絆が傷つき、相続人間の人間関係が悪くなったり、深刻な争いに発展することがあります。

相続人が欲しくない不動産等を押し付けられるリスク

遺言書で不動産を特定の相続人に相続させることは珍しくありません。
しかし、その不動産が収益を生まない土地や管理が難しい物件であった場合、相続人にとってはむしろ負担になることがあります。
「こんな不動産はいらなかった。」という気持ちが、他の相続人への不満や、親への感謝を失わせる原因にもなりかねません。

遺言書の内容次第で、相続税が高くなることもある

遺言書は財産の分配ルールを示しますが、その分配方法によっては相続税が高くなってしまう場合があります。

例えば、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」を考慮しなかったり、二次相続(父がなくなり、そのあと母が亡くなった場合)まで含めて相続税額を検討しなかった場合などです。

専門家の助言を受けながら、税金面も考慮した遺言内容にすることが重要です。

親の思いを伝える「付言」を忘れない

遺言書の中には、親の思いやメッセージを伝える「付言事項」を加えることができます。
この付言は法的拘束力を持ちませんが、家族にとっては大切な心の指針となることが多いです。

例えば、

・「長男には、代々継承してきた土地・家屋・墓を守って欲しい。」
・「兄弟みんなで母親を助け、仲良くやっていって欲しい。」
・「二女は私たち夫婦の老後の世話をしてくれるので、他の子供より多くの財産を渡すことにしたが理解して欲しい。」
・「家族やみんなのお陰で幸せな人生を送ることができた。ありがとう。」

こうした親の気持ちが遺言書に込められていると、相続人間の誤解を減らし、争いを防ぐ効果が期待できます。

遺言書を書く前に、できれば家族会議を!

私たち相続コンサルタントは、ご相談者が遺言書を書かれる前に、できれば家族会議を行われることをお勧めしています。

相続の当事者であるご家族の皆さんが集まって、我家の相続の問題や両親の生前の問題を話し合うことにより、先ず自分たち家族全員が我家の相続の当事者であるという意識を共有します。

そして、我家の問題点を共有し、家族それぞれの気持ち・考え方を聴き合います。
例えば、ご両親がこれから先、介護が必要になったり認知症になった場合、自宅で過ごしたいか施設に入居するか、自宅で過ごしたい場合は誰がサポートできるか。
親が相続させたい財産について、子供達はどう思っているか、などです。

そして、問題点に対する気持ち・考え方を共有することにより、対策の方向性が見えてきます。

そうして家族会議において、生前対策・相続対策について家族間の合意形成ができれば、それを議事録として作成します。
その議事録を元に遺言書を作成すれば、遺言書が開封されたあとも、家族間で揉めることはまずありません。

私たち相続コンサルタントは、家族会議がスムーズに行われるようサポートしています。

まとめ:遺言書は「書式」だけでなく「内容」にも気を配るべき

遺言書は、法的に正しい形式を守ることが大前提です。
しかし、それ以上に、家族の将来や財産の引き継ぎ方をじっくりと考え、慎重に内容を作成することが求められます。

所沢相続サポートセンターでは、遺言書作成のお手伝いを通じて、相続人間の円満な関係を維持するためのサポートを行っています。
法的なチェックはもちろん、内容の精査や家族会議支援®︎、付言事項の提案など、総合的なサポートを提供しています。

遺言書は、家族への最後のメッセージでもあります。
大切な人々が笑顔で未来を迎えられるよう、書く前にしっかりと準備していきましょう。
どうぞお気軽にご相談ください。

ご相談先

TEL : 090-5580-1050
Mail : yoshino-y0529@nifty.com

お問い合わせ : 所沢相続サポートセンター – 相続の悩みを解決して、笑顔の相続を実現する相続コンサルタント (tokorozawa-souzoku.biz)


この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
2022年4月に所沢相続サポートセンターを設立。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー