「父が亡くなったけど、財産なんてほとんどないし、手続きは簡単だと思っていました。」
先日、ご相談に来られた方のお話です。ところが実際には、次々とやることが出てきました。
まずはお通夜と葬儀の準備。
お墓や納骨先の手配も必要。
さらに、市役所で死亡届や世帯主変更届を出し、国民健康保険や年金の手続きを行い、銀行や保険会社にも連絡しなければなりません。
電気・水道・ガス・電話の名義変更や廃止の手続きもしなければいけません。
「財産がないから相続は関係ない」と思っていたはずが、現実には多くの手続きが必要で、想像以上に大変だったそうです。
このように、相続は財産の多い少ないにかかわらず、すべての人に関係します。
「うちはたいした財産がないから相続は関係ない」と思っていたり、「相続税がかからないから何も対策をしなくていい」と思っている人ほど、相続後に大変な思いをすることがあります。
人が亡くなれば必ず「死後事務」が発生する
相続というと「財産分け」を想像しがちですが、その前に必ず「死後事務」が発生します。
- 死亡届の提出
- お通夜や葬儀の準備と実施
- 墓地や納骨先の手配、納骨
- 初七日、四十九日法要などの供養
これらは、財産がどんなに少なくても避けられません。
身内が亡くなれば、必ず誰かが対応する必要があるのです。
財産が少なくても「相続手続き」は避けられない
葬儀後は、行政や金融機関への相続手続きが始まります。たとえば、
- 世帯主変更届の提出
- 健康保険・介護保険・年金などの資格喪失手続き
- 電気・ガス・水道・電話の名義変更や廃止届
- 生命保険金の請求
- 不動産や預貯金の名義変更
財産が少なくても、これらの手続きは必ず発生します。
準備をしていないと、残された家族に大きな負担がかかります。
遺産が少なくても相続争いは起きる

「財産が少なければ揉めない」とは限りません。
裁判所の統計では、調停や審判に至った遺産分割事件の約3分の1は、遺産総額1000万円以下です。
兄弟姉妹の間で、
- 誰が親の面倒を見たか
- 介護やお金の負担はどうだったか
- 自宅は誰かか住み続けるのか
- 自宅と少額の預貯金をどのように分けるのか
こうした感情の積み重ねが、わずかな財産でも争いに発展することがあります。
マイナスの財産は特に注意
プラスの財産だけならまだ良いのですが、借金や保証債務などの「マイナスの財産」を相続してしまうと大変です。
特に注意すべきは次のような場合です。
- 伯父・伯母や兄弟姉妹の相続
- 被相続人が「お一人様」の場合
- デジタル遺産や海外資産がある場合
財産の全体像がつかめず、相続を単純承認した後から借金や保証債務が発覚することもあります。
そうするとその借金・保証債務を、相続人が返済する義務が生じます。
もしマイナスの財産がある場合は、相続放棄や限定承認を早急に検討することが重要です。(期限は原則、自分が相続人だと知った日から3か月以内)。
まとめ
相続は、財産が多い人だけの問題ではありません。
人が亡くなれば、必ず死後事務や相続手続きが発生し、財産が少なくても争いや借金のリスクがあります。
「うちは財産が少ないから関係ない」と思わず、
- 財産や負債の整理
- 遺言や生前対策の準備
- 相続放棄・限定承認の知識
これらを元気なうちに確認しておくことが、家族の安心につながります。
ご相談先
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