親が亡くなってから子供達が遺産分割の話し合いをする時に、平等と公平を巡って争うことが有ります。
平等と公平をどのように考えたら良いのでしょうか?
民法の原則は均分相続
遺産分割の優先順位は、法定相続分より遺言による相続分の指定、協議による分割が優先しますが、遺言書が無かったり、協議や調停などの話し合いが纏まらなかった場合は審判による分割となり、審判では民法の原則通り法定相続分での分割になります。
相続人が子供だけの場合、子供が複数いれば平等に分けるというのが原則になっているわけですね。
そのため遺言が無い場合は子供同士で話し合いになるのですが、子供達がこの民法の原則を主張して兄弟姉妹で争うことになってくることが有ります。
平等と公平の違い
相続における平等と公平について、私が教わった先生はお年玉を例に次のように話されました。
お年玉を子供達にあげるときに、小学生にも中学生にも大学生にもそれぞれ5,000円ずつあげるのは平等です。
しかし、年齢によってお金の使い方や必要額が違います。平等だけど公平ではありません。
例えばですが、小学生には3,000円、中学生には5,000円、大学生には10,000円あげるのが公平と言えるでしょう。
このことは、相続においても同じ事が言えるのではないでしょうか。
不公平感が争いを生む
相続人一人が親の面倒をずっとみてきたり、病気の看護や介護で大変な苦労をしてきたり家業を手伝ってきた場合、その子供にとって遺産分割において他の兄弟と同じということは、公平ではないと感じます。
親のために苦労してきた分、他の兄弟より多くの遺産を貰いたいというのは当然の感情でしょう。
親の面倒を見てきた子供は、親の自宅に同居していることも多く、平等に分けるためには自宅を売却して分ける必要が有ったりして住む家を失う場合もあります。
そのため、平等に遺産が欲しいと考えている他の兄弟姉妹と対立することになります。
また、親の農業を継いだり事業を承継する場合は、後継者にとって事業を継続していくための資産は相続する必要が有るので、他の兄弟より多くを相続する必要が有ります。
そのため平等に相続となると、後継者は事業の継続が困難になり、生活の糧である仕事を失うことになります。
この場合も事前に対策をしておかないと、相続後に揉めたり不幸な相続になってしまいます。
このように、民法の原則通りに平等で分けると、円満で幸せな相続が実現出来ないことが有ります。
相続においては、平等より公平が大切だと言えるでしょう。
円満な相続を実現するためには
やはり相続前に家族で話し合うというのが一番大切だと思います。
親への今までの貢献度やこれから親が介護や病気になったとき、誰が主に面倒を見ていくか、家やお墓・法要などは誰が引き継いでいくか、事業は誰が引き継いでいくか、などを相続人や関係者が話し合い、共通の認識を持って合意しておくのが一番大切なのではないでしょうか。
その話し合いによって遺産の分け方が平等にならなかったとしても、家族全員が公平感を持ち納得していたなら、相続後に揉めることはないでしょう。
話し合いをしないで遺言だけを書いておいた場合、遺言を開封したとき各相続人の遺産取得分が不平等であったなら、少ない遺産の相続人は不満を持ち、親を恨んだり他の相続人と関係が悪くなったりします。
でも、家族だけで話し合うのはなかなか出来ないし、上手く行かないというのも現実です。
私たち相続コンサルタントは、家族の話し合いを支援する家族会議支援というサポートを、相続対策コンサルティングサポートの中で行っています。
そして、家族の話し合いで同意や合意したことを遺言に書くことをお勧めしています。
平等である法定相続分を変更して公平な相続にできるのは、被相続人となられる方だけです。
被相続人が生前に遺言を書いた場合のみ平等を変更できますので、相続後に家族間でトラブルにならないよう、ぜひ生前に家族で話し合いをして遺言を書いておいて頂きたいと思います。
※「家族会議支援」は株式会社ライブリッジの登録商標です。