空き家の売却には時間との勝負があります。
相続した空家をそのまま放置すると、さまざまなデメリットやリスクが生じるため、売却するのでしたら3年以内に売却するのがベストです。
以下に、その理由をあげてみます。

「空き家特例」で税金が軽減される

相続した空き家を売却する場合、「相続空き家の3,000万円特別控除」という特例が適用できる可能性があります。
この特例を利用すれば、売却益から最高3,000万円まで控除されるため、税金の負担が大幅に軽減されます。
ただし、この特例は相続開始から3年となる日の属する年の12月末までに売却することが条件です。
期限を過ぎると適用できないため、早めの判断が必要です。

「相続税の取得費加算の特例」で税金が軽減される

相続または遺贈により取得した土地、建物を相続開始の翌日から3年10ヶ月以内に売却した場合、相続税額のうち一定金額を、売却する土地・建物の取得費に加算することができます。
取得費が増えるので譲渡所得が少なくなり、結果的に税金が軽減されます。

固定資産税などの維持費がかかる

空き家を所有している間、固定資産税や都市計画税が毎年発生します。
特に、空き家が老朽化してしまうと「特定空き家」に指定され、固定資産税の軽減措置が外される可能性もあります。そうなると、税金が数倍に跳ね上がることも。

また、庭木の剪定や雑草の除去も定期的に行わないと近隣から苦情がくるので、そのコストもかかります。
無駄なコストを減らすためにも、早めの売却が賢明です。

空き家は劣化が進みやすい

空き家を長期間放置すると、建物の劣化が進み、資産価値が下がります。
湿気や虫害、定期的なメンテナンス不足により建物が傷んできます。
特に設備機器や配管などは長期間使用しないと、不具合が発生する可能性が高くなります。
また、鼠やハクビシンなどが棲みつき、建物を傷めたり悪臭の原因になります。
そうなると売却時の価格が大幅に下がります。

また、解体が必要な状態になると、その費用も発生します。
資産価値が高いうちに売却を進めるのが得策です。

トラブルやリスクを回避できる

空き家を放置していると、不法侵入や近隣トラブルのリスクが高まります。
管理が不十分な空き家は、周囲の景観を損ねたりゴミ捨場になったりして、近隣住民とのトラブルになるケースもあります。
また、台風などで建物や樹木が倒れて他人に危害・損害を与えたり、火災・放火の原因になった場合、所有者責任を問われることもあります。

市場動向を逃さない

不動産市場は変動します。
また、不動産価格は二極化しています。
都市部では上昇していますが、人口が減っている地方では価格が下落しています。
空き家がある地域によっては、売却を先延ばしにすることで益々需要が低下し、売却が困難になることがあります。

相続直後は、売却のタイミングを見極める絶好の機会です。
不動産のプロに相談し、適切な方法や価格で売却を検討しましょう。

まとめ

空き家を放置することは、リスクやコストの増加を招くだけでなく、税制優遇のチャンスを失うことにも繋がります。

そして、空き家を売却すると決めてから売却が完了するまでに、思いのほか時間を要します。
先ず、空き家の中に有る物の整理・処分にかなりの時間をとられます。
そして売却するとなると、官民・民民の境界確定をして確定測量図を買主に交付する必要があります。
隣接地住民と立会いをして境界を確定しなければいけませんし、公道との官民境界確定には何ヶ月もかかることがあります。
需要がない地域によっては、売り出してから契約に至るまで1年以上を要する場合もあります。

諸々の相続手続きをしたり売却のための準備期間を考えると、3年はアッと言う間に近づいてきます。
「まだ時間がある」と先延ばしにせず、相続後の空き家の扱いについては、3年以内を目標に売却を検討してください。

所沢相続サポートセンターでは、空き家の売却または保有についてのご相談を随時受け付けています。
お気軽にご相談ください。

TEL : 090-5580-1050
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この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
2022年4月に所沢相続サポートセンターを設立。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー