皆さんは「無財の七施」(むざいのしちせ)という言葉をご存じでしょうか?
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、私は恥ずかしながら長い間ずっと知りませんでした。
15年前、相続アドバイザー協議会という相続の団体で知り合ったMさんという方が、毎日短いブログをフェースブックに投稿されていて、その投稿のなかで無財の七施について書かれていて初めて知りました。
Mさんは残念ながら、7年前に50歳代前半の若さで亡くなられましたが、いつもにこやかな彼の笑顔と共に、今でもこの言葉は覚えています。
「無財の七施」とはどういうこと?
私はどの宗教にも属していませんが(強いて言えば実家は浄土真宗です)、宗教には素晴らしい言葉があると思います。
「無財の七施」の意味をネットで調べてみると、仏教用語で、「ありがとう」「おかげさま」の気持ちを行動で表す身近な実践のことのようです。
七施とは七つの布施のことで、
布施の「布」は分け隔てなく、あまねくという意味があり、「施」は文字通りほどこすという意味ですので、布施とは「別け隔てなく施す」という意味になりますね。
お布施は、与えた人よりも与えられた人の方が得をする(施しを受ける人が救われる)というイメージですが、お布施は、施しをした人の方が幸せな気分になり、与えられた人よりも与えた人が幸せになるという考えに立っているようです。
私達の日常生活において、お金や物を持っていなくても、周りの人に喜びを与えて少しでも喜んで頂き、そして自分も幸せになる方法、それが「無財の七施」なんですね。
七施の内容
七施の内容を調べてみると、
1.眼施(げんせ)(がんせ)
やさしい眼差し(まなざし)で人に接する。
2.和顔施(わがんせ)、和顔悦色施(わげんえつじきせ)
和やかに笑顔で人と接する。
3.言辞施(ごんじせ)
やさしい言葉で接する。思いやり、愛のある言葉をかける。
4.身施(しんせ)
自分の身体を使って奉仕する。
5.心施(しんせ)
他のために心をくばる。思いやりの心を持つ。
6.床座施(しょうざせ)
席や場所、地位を譲る。
7.房舎施(ぼうじゃせ)(ぼうしゃせ)
自分の家や部屋を提供する。雨風をしのぐ場所を与える。雨の時に相手に傘を差し掛ける。
以上の七つとなっています。
私には、これらの全てを実践することはなかなか難しいですが、やさしい眼差しで人に接したり、にこやかな笑顔で人に接する、やさしい言葉で接するのは、心掛け次第でできるのではないかと思います。
日常生活では、なるべく穏やかな笑顔でいるよう心掛けています。
また、床座施には、座席を譲るという意味だけでなく、独り占めしないで全ての物を分かち合い、譲り合うのことが大切だという意味も有るようで、それは円満な相続を実現する精神にも繋がります。
私も財は無いので、、普段の生活の中でこれらの事を一つでも心掛け、周りの人達と仲良くし、共に幸せに暮らしていければいいなと思います。
参照:天台宗 一隅を照らす運動のコラム