相続の相談を受ける時、自分の財産がどこに何がどのくらいあるか、よく把握されていない方がいらっしゃいます。
今回は、そのような場合、どんな事が起きるかについて書いてみました。
どのような問題があるか
1.親の立場
自分の財産を把握していないと、老後の生活の対策を考えることができません。
高齢になると色々な病気になることが多く医療費の出費が増えます。
また、要介護状態になれば介護サービスの費用がかかり、高齢者施設に入いるとすると入居金や管理費用などがかかります。
それらに対応できる現預金があればよいですが、無い場合は自宅や株などを売却する必要も出てきます。
財産が把握できていないと、遺言書を書くこともできません。
2.子供の立場
親の財産が分からないと、親の老後に対してどのようにフォローしていいのか考えることができません。
親が病気や要介護状態になった時、子供としてどうすればいいのか。
特に親が認知症になった時、親の財産は凍結されてしまうので困難に直面します。
また、親が亡くなった時、相続財産の内容が分からないと、財産を探したり知るために大変な時間と労力を要します。
財産内容が分からないと、相続税がかかるのかどうかも判断できません。
相続人間で遺産分割協議をすることもできません。
遺産分割協議書が締結されないと、基本的に預金の払戻しや相続登記もできず、相続税の二大特例も使えないので一時的に多額の相続税を納税することになります。
借金や保証債務などマイナスの遺産が多い場合は、相続人であることを知った時から3ヶ月以内に相続放棄や限定承認の申し出を家庭裁判所にすることを検討しなければいけませんが、財産内容が分からないとそれもできません。
どのようにしたらいいか
1.親が生前の場合
先ず親がエンディングノートに財産内容を書きましょう。
財産内容には、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も書いておきましょう。
また、遺言書を書くことで自分の財産の整理をしながら、財産目録を作ることができます。
そうすることで、自分自身が自分の財産内容を把握することが可能となります。
自分が亡くなった後も、遺された家族が遺産を把握するのがすごく楽になります。
2.相続発生後は
預貯金通帳や保険証券、有価証券の証書などで調べることになりますが結構大変です。
亡くなった人に届いている取引明細などの郵便物から調べることもあります。
不動産は固定資産税の納税通知書や役所に行って名寄帳を取得して調査します。
現在はネット銀行を使っていたり、ネットで保険に入っていたり、ネットで契約していたりするので、こちらを調べるのも一苦労です。
各種請求や解約もIDやパスワードが分からないと、自分ではできません。
また、厄介なのは、借金や保証債務など相続債務についての調査です。
借用証書、保証契約書などが残っていればいいですが、殆どの場合ないでしょう。
相続債務については、以下の個人信用情報機関へ情報開示請求という方法があります。
①JICC(日本信用情報機構)~ 主に消費者金融業者が加盟
②CIC ~ 主に信販会社が加盟
③JBA(全国銀行個人信用情報センター)~ 主に銀行・信金・信組・保証協会等が加盟
相続債務の調査は、相続放棄の申述をする期限が相続人であることを知ってから3ヶ月以内なので早急に行う必要があります。
親は、メモ書きでもいいので記録を残しておいて欲しいものです。
まとめ
財産が把握できていないと、自分の老後の生前対策を考えることができません。
また、自分の相続発生後は、名義変更等を含めて相続手続き全体が進まず、場合によっては大変な不利益を被ることがあります。
相続手続きは遺された家族が行うことになります。
遺された家族に負担をかけないよう、生前に整理し財産内容を記録しておくことが大切です。
相続財産の整理・把握についてよく分からない方はご相談ください。
TEL : 090-5580-1050
Mail : yoshino-y0529@nifty.com
お問い合わせ : 所沢相続サポートセンター – 相続の悩みを解決して、笑顔の相続を実現する相続コンサルタント (tokorozawa-souzoku.biz)