以前、相続相談に来られた60歳代後半の女性の方が、生活力に欠ける30歳代の息子に贈与したいというご相談が有りました。
所有されている財産をお聴きしてみると、ご自宅と預金が2千万円台でした。
ご主人は退職され、奥様はパートタイマーをされていました。

それぞれ年金を受給されていましたが、私は少し心配になり、慎重に判断した方が良いのではというお話しをさせて頂きました。

人生長くなりました!

少し前から、人生100年時代と言われています。
100歳以上の長寿者が、女性が76,450人、男性が10,060人もいます。(2919年9月時点)

平均寿命はどんどん伸び、女性87.5歳位、男性81.5歳位(2022年現在)となっています。

また、最も死亡数が多い年齢(死亡数最多年齢)を見ると女性93歳、男性88歳となっています。 

さらに知っておきたいのは、日常生活に制限のない期間の平均を表す健康寿命です。
健康寿命は、女性75.4歳位、男性72.7歳位になっています。(2019年時点)

死亡最多年齢との差を見ると、女性が約18年、男性が約15年も有ります。
15年から18年も、病気になっていたり介護が必要だったり認知症になっていたりするわけですね。
考えるとちょっと途方に暮れる長さです。
お金もいくらかかるか分かりません。

先程のご相談者の場合、まだ20年以上は生きていらっしゃることになります。
その間、病気になったり要介護や認知症になることも考えられます。
2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると言われています。

病気になれば治療費や手術代、入院費用など、
介護が必要になったり認知症になれば、介護費用や介護施設利用料、施設入居費用など、様々な費用がかかります。
アッと言う間に1千万円以上のお金は使ってしまうでしょう。

今の時代、その様な状態になっても、子供に頼ることがなかなか出来ない時代です。
非正規雇用が増え、正社員でも給与の伸びが横ばいの日本では、子供達の生活も楽ではありませんし、介助してもらいたくても子供も自分の生活があるので難しいでしょう。
親が大変な状況になったとしても、助けたくてもなかなか出来ないのが現状ではないでしょうか。

親が何億円も持っているなら別ですが、そうでないならその時に備えて、お金はなるべく親が持っておいた方が良いのではということでアドバイスさせて頂きました。

自分の財産は自分が生きている時のために使い、お金が残っていれば子供達に相続させれば良いのではないでしょうか。

長生きにどう備えるか?

ちょっと前までは、相続対策と言えば、親や自分達が亡くなった後どうするかを考えておけばすみました。
しかし寿命が伸びてきた現在、それではすまなくなってきています。

先月の敬老の日の新聞を読むと、高齢人口に占める就業者の割合は25.1%、65~69歳に限ると割合は50.3%で2人に1人が働いています。

高齢者の就業者数は過去最多の909万人、そのうちパートやアルバイトなどで働く人は393万で、働く理由は「自分の都合のよい時間働きたいから」が3割超で最多ですが、「家計の補助などを得たいから」が女性の2番目、男性の3番目の理由だそうです。

昔は定年退職をして退職金を貰い、老後は年金で悠々自適の生活を送るという余生を送られていた方が多かったように思います。
今は低成長下で現役時代預金もあまり出来ず、退職金も少なく、年金も徐々に減らされている現状です。
老後も悠々自適の生活とは行かないのが現実です。

親も子供への相続を考える前に、自分が生きている間の生存対策を先ず考えなければいけない時代になりました。

介護が必要になったり認知症になった時にどのような生活を望むか、そうなった時に誰がサポートするのか、どのような公的なサポート体制があるのか、自分達はどのような準備をしておけば良いのか。

自分でいろいろ調べて考え、必要で有れば専門家の話も聞き、家族とも話し合って準備しておく必要がありますね。

この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
2022年4月に所沢相続サポートセンターを設立。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー