相続の相談で来られた方のほとんどは、遺言書を作成したいがどうしたらよいか、相続税を節税したいがどうしたら節税できるか、子供に贈与したいがどのように贈与するのがいいか等、相続対策をどのようにやれば良いのかの相談で来られます。

でも、いきなり遺言書を作成したり、節税のスキームを組んだり、生前贈与の方法で相続対策しても良いのでしょうか?

相続対策の前にやらなければいけない事が有るのをご存じでしょか?

いきなり相続対策を行なったららどうなるか?

相続対策として、遺言書を作りたい人が専門家に依頼して遺言書を作成した場合、相続後に不公平な遺言が原因で相続人同士の仲が悪くなることがあります。

相続人の内の一人が被相続人に自分に有利な遺言を書かせたのではないかと他の相続人が疑念を抱き、被相続人の遺言作成時の意思能力を巡って相続人間で争うことも有ります。

また、遺言で被相続人が相続させたい財産と、相続人が相続したい財産・相続したくない財産が違っていて、不幸な相続になったりもします。

節税を優先していろいろ対策をやったがために、相続後に分割しづらくなったり、納税に支障を来すことも有ります。

特定の子や孫に生前贈与したがために、家族間で不協和音が生じることも有りますね。

相続対策というと、大きく分けると分割対策、納税対策、節税対策、認知症対策などです。

具体的には、遺言書作成、生命保険への加入、生前贈与、家族信託の組成、不動産の活用・売買、財産管理委任契約、任意後見契約など様々な方法が有ります。

でも、前述したように、いきなりこうした相続対策を実行してしまうと後々トラブルになることが有ります。

こうしたトラブルを防ぐためには、相続対策を行う前にやらなければいけないことが有るということをご存じでしょうか?

相続対策の正しい進め方

私の相続の師匠である川口宗治氏は、相続対策には正しい進め方があると言われています。

それは、
1.現状の整理整頓および現状の認識
2.問題を明確化する
3.家族がそれぞれ当事者意識を持つ
4.問題意識を共有する
5.互いの気持ちや考えを共有する
6.家族間(当事者間)の合意形成
7.対策案の選択
8.対策の実行

という順番です。

相続対策を正しく進めるためには、実行する前にこれらの事を行なうのが理想です。

そして今までの相続対策では、これらの事をやっていないために、相続対策が途中でうまく行かなくなったり、相続後にトラブルになったり、相続人間の関係性が悪くなっていたりします。

逆に言えば、相続対策をする前に、家族全員が現状を認識し、当事者意識や問題意識を共有し、相続対策をするための同意・合意形成ができていれば、相続対策もスムーズに進み、相続後に揉めることも殆どないと言って良いでしょう。

親の立場からしたら、自分の子供達が自分の残した財産で揉めたり仲が悪くなったりするのは、絶対見たくないのではないでしょうか?

親の生前に、家族が相続について話し合うことは、相続によって子供達の人間関係が悪くなるのを防ぐために最も重要なことで、是非皆さんに行なって頂きたいことです。
でも、そうは言っても、なかなか家族で相続について話し合うのは難しことです。

私は相続コンサルタントとして、ご家族が相続について話し合い、問題意識の共有や合意形成をするお手伝いを「家族会議支援」という形で行っています。

そして、相続対策をする時は、相続対策の目的を決めましょう。
何のために相続対策をするのかを決めておきましょう。

子供達が相続によって揉めないように対策するのか?
財産をスムーズに子供達に承継させ、子供達が幸せな生活を送るためか?
納税資金が足りないので対策をしておくのか?
親や自分たちが認知症や介護状態になった時に備えて対策するのか?
相続財産を圧縮するために対策するのか?

相続対策の目的が複数あることも有るでしょう。

また、相続対策は例えば分割対策と節税対策など、場合によっては相反する結果になることがあります。

従って、これらの目的に優先順位をつけて対策をすれば、対策をする時に判断基準が有るので、本当の目的を達するために間違わないですみます。

相続対策を行う時は、ぜひ目的を定め、正しい進め方で行い、家族同士で揉めることの無い、笑顔の相続を実現して頂きたいと切に思います。


※家族会議支援®︎は株式会社ライブリッジの登録商標です。

この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー