遺言書はなぜ必要なのでしょうか?

「なぜ遺言をかくのか?」については、以前ブログで書かせていただきました。
なぜ遺言を書くのか? – 所沢相続サポートセンター (tokorozawa-souzoku.biz)

遺言書は皆さんに書いて頂きたいのですが、今日は、是非とも遺言書を書いていただきたい方について書きます。

私のかみさんの知り合いで、ご夫婦とも70歳を過ぎた方なのですが、成人した子供さんが3人おられ、その内のお一人が結構重度の精神障害がある方がいらっしゃいます。
この状態で、夫婦のどちらかに相続が発生し遺言書が無い場合、かなり大変な状況が想定できます。

それで、かみさんには、その奥さん会ったとき遺言書を書くように勧めた方がいいよ、と言う話をしていますが、会った時にいきなり遺言の話も出来ないので、なかなかその話をする機会がないようです。
遺言などの相続の話は、切り出すタイミングが難しいですね。
でも、このようなご夫婦には、ぜひ遺言書を書いておいて欲しいです。

ぜひ遺言書を書いた方が良い場合とは?

ごく普通の家庭においても、家族の状況や相続人の生活状況により、相続が起きた場合に大変困難な状態に陥ったり、争族になったりする可能性が有ります。

自分が築いてきた大切な財産で遺された者が争いをしないために、自分の想いを伝える手段として遺言書を是非書いて頂きたいと思います。

特に次のような場合には、相続に関する問題や紛争を未然に防ぐために、必ず遺言書を作成しておかれることをお勧めします。

.子供達の仲が良好でなかったり、家庭不和の場合
遺言書が無ければ相続人が遺産分割協議をすることになりますが、遺産分割協議は相続人全員が合意しなければ成立しません。
相続人の内で誰か1人でも不協和音を発する可能性が有る場合は、協議が紛糾して遺産分割協議が纏まりません。
家族関係が壊れてしまう可能性が大きくなります。

.法定相続分と異なる割合で財産を相続させたい場合
遺言書がない場合、遺産分割協議をすることになりますが、遺産分割協議で相続人全員で合意できない場合は、最終的に法定相続分に従った分割となってしまいます。
ですので、次のように財産を渡したい場合は、必ず遺言書を書いておきましょう。
ただし、他の相続人の遺留分については注意をする必要があります。
また、なぜ特定の子供に多くを相続させるのか、その理由を付言で書いておくことも揉めないために重要です。

ア)預貯金はそれほど無く財産の殆どが自宅の場合で、高齢の配偶者や同居している子に自宅の土地・建物を相続させたい。
イ)親の世話や介護をしてくれた子に多く相続させたい。
ウ)家業を手伝ってくれた子に多く相続させたい。
エ)生活能力の低い子に多く相続させたい。
オ)家業や事業の承継者に事業用資産や自社株を相続させたい。
カ)子供がいない夫婦で、相続人が妻と兄弟姉妹になる場合において、老後の妻に全財産を渡したい。(兄弟姉妹には遺留分が無いので、全財産を相続させることが可能です。)

3.認知症や精神的障害のある人など、意思能力のない相続人がいる場合
意思能力がない人は遺産分割協議に参加することができませんので、遺言書がない場合、成年後見人等を家庭裁判所に選任申立てしなければなりません。
成年後見人等がついた場合、基本的に法定相続分で分けることになるので、自分で自由にお金を使えない認知症や精神障害の方が財産を相続することになります。
また、被後見人が亡くなるまで基本的に後見人は解任できないので、後見人が弁護士や司法書士などの専門職後見人の場合は報酬も結構かかることになります。

.相続人以外の人に財産を残したい場合
遺言書がないと、相続人でない人は財産を取得することができません。
次のような人に財産を渡したい場合は、必ず遺言書を書いておきましょう。

ア)事実婚など内縁の人
イ)世話や介護をしてくれた子供の配偶者
ウ)配偶者の連れ子(事前に養子縁組をしていないと相続人になりません。)
エ)公益的な事業をしている団体に対する寄付
オ)お世話になった友人・知人など

.家族関係が複雑な場合
亡くなった人が離婚や再婚をしていて、前妻や前夫との間に子供がいる場合などは、相続人間でお互いにコミュニケーションがないことがあり、その様な場合利害も対立しやすいので、遺産分割協議が纏まりにくくなります。
ぜひ遺言書を書いておいた方が良いでしょう。

6.相続人がいない場合
相続人がいない場合、遺言書が無ければ遺産は最終的に国庫にいってしまいます。
お世話になった友人・知人に財産を渡したい場合や、寄付したい団体などが有る場合は、遺言書を書いて遺贈を検討しましょう。

7.行方不明の相続人がいる場合
遺言書がないと、失踪宣告や不在者財産管理人の選任など相続手続きが大変になってしまいます。
行方不明の推定相続人がいる場合は、遺言書を作成して、遺産分割協議をしなくてもスムーズな財産移転ができるようにしておくことが大切です。

8.遺産の多くが不動産の場合
遺言書がないと、どの不動産を誰が相続するか、及び不動産の評価額で揉めることが多くなります。
但し、遺言書で指定されて望まない不動産を相続する事は、相続人にとって不幸な事になりますし相続人間で揉めることにもなります。
親の生前に家族で話し合って、親と子供の気持ちを伝えあうことが重要になります。その上で、遺言書を書きましょう。

9.財産内容を知る相続人がいない場合
相続人が財産内容を知らないケースが増えています。 
親子でも子供が親の財産内容を知らないケースは多いと思いますが、兄弟姉妹や叔父さん・叔母さんの相続となると財産内容は殆ど分からないのではないかと思います。
また、最近では、ネット銀行の普及などで手元に預金通帳を置かない人も増えています。
借金の有無も本人でないと把握するのが大変です。
遺された遺族の負担を軽減するためにも、遺言書を書いて財産目録を作成しておきましょう。

10.二世帯住宅に住んでいる人がいる場合
親と子供が二世帯住宅に住んでいる場合、親所有の土地を複数の子供達で分割して相続することは大変難しくなります。
遺言書で、二世帯住宅に住んでいる子供が住み続けられるように書いておくことが必要です。


今回は必ず遺言書を書いた方が良い場合について、主だった事を書きました。

今回書かせていただいた中で、一つでも当てはまることが有る方は、迷わず遺言書を書いておきましょう!

遺言書を書く前に、相続人にどのように財産を分け与えればいいのか、それによって遺留分や相続税はどうなるのか、子供達が揉めないためにはどうすればいいのかなど、いろいろ迷われる方もいらっしゃるかと思います。

どのようにすれば良いのか分からないという方は、お気軽にご相談くださいね。

お問い合せ先   TEL: 090-5580-1050   
          Mail:yoshino-y0529@nifty.com 


参照:上級相続診断士 知識編テキスト
   改訂版 相続相談標準ハンドブック

この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー