不動産は個性的な財産です。
お金なら1万円札はどの1万円札も同じですが、不動産は一つとして同じ物はありません。

例えば同じマンションの同じ広さの住戸でも、階数やバルコニーの向き、中住戸か角住戸か、位置、間取り、反転タイプ、エレベーターまでの距離などにより、同じ住戸は一つもありません。

不動産にはそのように個性的な物ですが、個性がマイナスに向く要因がいくつか有ります。
不動産を相続する時はそれらに注意して、負動産相続に気をつけましょう。

不動産の個性がマイナスに向く10の要因

不動産の個性がマイナスに向く要因をいくつか書いてみます。

1)自然災害の危険性がある不動産
地震や土砂災害、造成宅地防災区域、がけ付近の土地、液状化、浸水・洪水等の危険性がある土地です。

首都圏は30年以内に大地震が来ると言われて久しくなります。
いつ大地震が発生してもおかしくありません。
大地震が発生すると、地盤の良くない地域や海に近い地域は大きな被害を受ける可能性があります。

また最近は地球温暖化の影響で、今迄経験した事がない強さの台風や集中豪雨も発生し、地域によっては造成宅地やがけが崩れたり、浸水や洪水の被害も多くなっています。
風によって、屋根が飛んだり老朽化した建物が倒壊することも増えてきています。

2)道路による特性
建築基準法上の道路に接しているかどうかを確認する必要があります。
建物を建築するには、原則4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接していないと建てられません。

建築基準法上の道路だと思っていたものが、水路の上に蓋をかぶせた道だったり、遊歩道だったり、河川を管理するための道だったり、農業用の道だったり、通路だったりすることがあります。
たまにですが、自分の土地と道路の間に細長く公有地や私有地が入っていて、道路に接していないことも有ります。

遺産分割により土地を分割するときに、建築基準法上の道路に接するように分割できるのか検討する必要があります。
接するか接しないかによって、分割後の価値が大きく変ってきます。

3)将来、都市計画法や建築基準法、条例が改正されることもある。
人口減少や少子高齢化社会の到来により、法律や条例が緩和されたり規制強化されることが有ります。

すでに様々な地域においてコンパクトシティ構想と言って、限られた財源で市内のインフラを整備する必要が有るため、商業施設や業務エリア、住宅エリアをなるべく市の中心部に集中させる計画が作成されています。
そのため法律や条例も全体的な見直しがされ、改正される可能性があります。

空家もこれから益々増えてくるため、空家に対する規制も強化されて来るでしょう。

4)事件・事故
物件の中で自殺や殺人事件、孤独死があると、そのあと賃貸しにくくなったり売却するのが難しくなったり、原状回復に過分の費用がかかったりします。

建物は火災のリスクも有ります。

5)管理費の高いリゾートマンション
昭和の後期から平成の初めのバブル時代に建てられたリゾートマンション。

今となっては売買価格は安いが、管理費・修繕積立金は月額数万円かかり固定資産税も払わなければいけない。
殆ど使わないのに維持費用は毎年100万円近くかかるので、業者にお金を払って引き取ってもらう人もいるようです。

別荘についても、似たようなケースが有るでしょう。

6)市街化調整区域の土地
原則、農林漁業を営んでいる人以外は、建物が建てられません。

7)地中埋設物がある土地
地中にコンクリートガラやレンガ等の建材、浄化槽などが埋まっている土地です。

廃棄物処理法が施行される前は、建物を解体した後の廃棄物をその敷地の地中に埋めていることが結構有ったようです。
また、地中にコンクリート基礎や杭がそのまま残っていることも有ります。

これらは掘削してみないと分からないので、売却後に買主が工事中に発見し、売主が契約不適合責任を問われることも多く有ります。
これも撤去・搬出・処分に結構な費用がかかることが有るので注意が必要です。

8)軟弱地盤の土地
元々が田や沼地だったり、池や河や低地の近くの土地は、軟弱地盤の可能性が有ります。

軟弱地盤の土地に建物を建てる場合は、杭工事が必要だったり地盤改良工事が必要になったりします。
このような土地に建物を建てたり、売ったり買ったりする場合は注意が必要です。

9)土壌汚染された土地
クリーニング店をされていた土地や工場跡地、ガソリンスタンド跡地などは土壌汚染している可能性が有ります。
所沢周辺では殆どありませんが、戦争中の空襲による鉛汚染や海の近くではフッ素による土壌汚染も有ります。

土壌汚染は外見上汚染が分からない場合が多く、対処費用も高額になります。
場合によっては、対処費用が土地の売却価格を上回ることも有りますので注意が必要です。

10)アスベスト建材が使われている建物
アスベストはかつて優れた性質を持った建材として、広く使われてきました。
住宅においても、屋根材(石綿スレート等)、外壁材(サイディング等)、内装材、吹き付け材、断熱材、鉄骨の耐火被覆など、多く利用されました。

しかし現在は、人体への有害性が問題視され使用禁止になっています。
平成16年(2004年)以前に建てられた建物は、アスベスト含有建材が使われている可能性が有ります。

普通に建物を使用している時は問題ありませんが、解体時にアスベストが飛散しないように厳重に管理し解体・処分しなければいけないので、解体費用が通常よりかなり割高になることが有ります。

以上、不動産がマイナスに向く要因について、いくつか書いてみました。

これらの不動産は負動産になる可能性が高く、一般の方ではどう対処すれば良いか難しい事柄や物件が多い場合もあります。

遺産分割する場合も、先ずその前提として、これら問題になりそうな事柄が分かった上で行なわないと、後々トラブルに遭遇したり後悔する事になります。

どの様に対応したら良いかよく分からない場合は、不動産などの専門家に相談してくださいね。

この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー