映画「PERFECT DAYS」を観て

先日、映画「PERFECT DAYS」を観ました。

役所広司演じるこの映画の主人公は、毎朝早く起きて、東京都内の幾つかの公衆トイレの清掃をして回り、仕事の後は夕方銭湯に行って汗を流し、その後、浅草駅の地下の居酒屋で晩酌&夕食をとるという生活を送っています。
基本的には、昼間一生懸命働いて夜一杯やり、寝る前に本を少し読んで寝るという単調な生活です。
そこに、あまり大きな出来事ではないが、少し変化のある日常が描かれています。

主人公の職人技的な丁寧で手際のよい仕事ぶり、無口だが接する人への優しい態度、今を大切に生きる姿勢など。
いろいろ日常の大切さと思いやりが感じられる映画で、観た後ほっこりした気持ちにさせられました。

マンション管理人の日々

この映画を観て、私もマンション管理人をしていた日々を思い出しました。

61歳の時、2013年1月から3年4ヶ月程、マンション管理人をしていました。
都内にある30数戸の、ちょっと高級と言われる新築の小規模ファミリーマンションです。
基本的には朝8時から12時までの4時間で、週5日の勤務でした。

朝5時半ころ起きて6時半に自宅を出発、マンションには7時半ころ到着します。
すぐ着替えをして、8時過ぎまでに建物内の半地下にあるゴミ置場から、外部のゴミ集積場までゴミを出します。
ゴミが分別されていなければ、ゴミ袋から出して分別をやり直します。

その後マンション内の清掃、植栽への水やりをします。
これが結構時間と体力を要しました。
先ず前面道路と駐車場の掃き掃除、ゴミ置場の床水洗い。
その後、建物周りと建物内に植えてある植物に水をやる。
そして、4階建のマンションの外廊下、外階段、エントランスホールなどの床を全て掃き掃除。
それと、廊下・階段の手すり、エントランスのガラスをタオルで水拭きなど。
清掃が終わるのがいつも11時~11時半ころです。

その後、マンション住民の方への対応や事務作業を行ないます。
なかなか12時までに業務が終わらず、いつも昼食を食べながら事務作業を行なっていました。
管理人になる前は、1時間くらい机に座ってのんびりする時間が有るのかと思っていましたが、私の場合そんな時間は全く有りませんでした。

特に春は春の嵐によって、雨と隣地小学校の校庭の砂が外廊下や外階段に吹き込んで来て、全ての床を水洗いしないと砂が取れないのでとても時間内には終わらずです。
冬も雪が降ると、前面道路と駐車場の除雪作業は時間と体力が必要でした。

その他、複数の設備業者による設備点検対応、植栽業者による植栽剪定対応、生協などの生鮮食品配送の留守対応など。

というわけで、私の場合は単調な業務という訳にはいかなくで、勤務は結構ハードでした。

特に、最初勤務に着いた日、11年前の1月は、東京に記録的な大雪が何度か降った年でした。
入居者の方から雪が積もっていて機械式駐車場が使えないというクレームが入り、既に凍り付いている雪をバールで壊し、暗い中を夜8時頃まで1人で除去作業をしたこともありました。

また、入居したばかりの方々が、セキュリティシステムが付いている玄関ドアや窓サッシを誤作動させて館内に非常ベルが鳴り響き、しょっちゅうセコムの警備員を呼んでいました。
そのほか、引っ越して来たばかりの人が、自動洗濯機の給水ホースがうまく繋がっていないのに水を出し続けていたため床を水浸しにした事など、今思い起こすと懐かしい思い出です。

管理人になってから思いましたが、管理人は思ったより色々な素質がないと出来ない仕事だと思いました。

1.先ず体力がないとできない。
オムツがたくさん入ったゴミ袋は、水分を含んでいてかなり重いです。
また、正月明けのゴミ置場は足の踏み場もないくらいゴミが積み上がっています。
毎日の全館清掃も体力勝負です。

2.コミュニケーション能力が必要。
住民には色々な方がいらっしゃいます。
住民の方達と出来るだけトラブルなくやっていくためには、割と高いコミュニケーション能力が必要です。
また、管理人は時給制の契約社員とはいえ、管理会社の顔であり窓口です。
住民の方の要望に的確でスピーディーな対応をしないとクレームにつながります。

3.最近の新しいマンションは、建物の仕様や設備、セキュリティなどが高度化しており、ある程度ハード面が分からないと対応が難しくなっています。

4.マンション管理会社がISO規格の認証を取得しているため、事務作業が細かくて多く、事務作業能力も必要です。

私は日頃の行動指針として、1.挨拶 2.笑顔 3.感謝 4.謙虚 5.掃除 6.整理整頓 の6つを掲げてやっていました。

肉体的にはちょっとキツいところが有りましたが、掃除の大切さはもとより、いろいろな事を学ばせて頂いたマンション管理人生活でした。
子供達も懐いてくれ、自分の孫がたくさんいるような幸せな気持ちになりました。

管理人を辞めてからも、新型コロナが流行る前の2019年12月まで、マンションで行なうクリスマス会に連続4回呼んで戴き、住民の方と楽しく旧交?を温めました。

住民の皆さんは今頃どうされているのかな、子供達はずいぶん大きくなったんだろうなと、ふとした時に考えたりします。




この記事を書いた人

吉野喜博

吉野喜博

1951年5月、広島県広島市生れ。現住所は埼玉県所沢市。
国立呉工業高等専門学校建築学科を卒業して、建築の企画・設計・監理業務に約30年従事する。
30年前位から不動産の仕事(ビル・マンション企画開発・販売、土地の仕入れ、仲介業務等)も併行して行う。
2008年から相続の勉強に本格的に取り組む。
2016年から所沢市にて、市民の方を対象に相続勉強会と相続相談会を開催している。
2022年4月に所沢相続サポートセンターを設立。
各所で、相続セミナーの講師および相続相談会の相談員を担当。

趣味:
所沢の米で日本酒を作る会の監事、日本酒を嗜むこと、カラオケ、韓国語の勉強。

保有資格:
NPO法人 相続アドバイザー協議会認定 上級アドバイザー、
一般社団法人 相続診断協会認定 上級相続診断士、 公認 不動産コンサルティングマスター、
相続対策専門士、 一級建築士、 宅地建物取引士、 ファイナンシャルプランナー